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若いときの一人旅は宝物
会社員・女性です。もちろん旅行は大好き。これまで国内外問わず、様々な場所へ出かけてきました。
旅は人生を豊かにしてくれます。ワクワクしたり、好奇心を刺激されたりと、これほどたくさんのものを与えてくれる経験は旅行以外にないと思います。
中でも、若い頃の「海外一人旅」は最も貴重な経験といえるのではないでしょうか。
私は20代~30代前半にかけて4回、ヨーロッパ一人旅をしたことがあります。
それまで友達や家族としか海外には行っていなかったのが、すべて一人でこなさなければならない一人旅は、たくさんのハプニング、発見そしてかけがえのない喜びに満ちていました。
言ってみれば、「冒険」そのものでした。
大きな意味をもたらし、人生について深く考えることのできた宝物のような時間です。
一人旅ならではの醍醐味は?
最初の一人旅の行先はイタリア。ヴェネツィアとミラノでした。
本当は友人と行く予定だったのですが、事情ができて急遽一人に変更となりました。その時は初めての海外一人旅に不安を感じることのほうが多く、本当に行けるのか、心配でたまりませんでした。
一応、会話程度の英語はできますが、それでも何かあったときに助け合える友人がいるのといないのでは全然違ってきますからね。
が、いざ行ってみるとその不安はすぐ吹っ飛びました。
イタリアは自分に合っていたのでしょう。見るもの聞くもの食べるもの、すべてに強烈な印象を受けました。
イタリア人はおおむね人懐っこく、カフェでお茶をしているとウェイターが親切に話しかけたくれたり、道を尋ねても街の人々はとても親切です。
また、一人であることによって、カフェやレストランで隣になった外国人とおしゃべりすることができたり、逆に道を尋ねられたことがきっかけで、同じく一人旅をしている白人の女性と一日半、一緒に観光するという体験ができました。
もし友人や家族と一緒なら「日本語カプセル」の中でコミュニケーションが成立してしまい、現地の人や、そこで出会う人々とたくさん会話することなどないでしょう。
人は助け合って生きていることや、自分も誰かの助けになれるということが分かり、日本では味わえない時間を過ごすことができました。
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時にはハプニングも起こる海外一人旅
そうして最初のイタリア旅行ですっかり魅了された私は、帰国後すぐイタリア語レッスンに通い始めました。
翌年の休暇ももちろんイタリアへ。今度はローマとフィレンツェです。
『ローマの休日』が大好きで、憧れの地を踏むともう舞い上がってしまい、かなり予定を詰め込んで観光にいそしみました。
しかし・・・。ローマの地下鉄内で、なんとスリに遭ってしまったのです。
車内は混雑しており、私は斜め掛けバッグを体の前面に回してつり革につかまって立っていたのですが、ホームに降りたとき、ふとチャックが全開になっているのに気付いたのです。
「おかしい」と思って慌てて確認すると、不幸中の幸いで、財布だけが盗られていました。パスポート、カメラ類など他の貴重品は無事でした。
しかし、クレジットカード・キャッシュカードをすぐストップせねばなりません。ちょうど降りた駅の前にJTBローマ支社があったので駆け込み、日本人スタッフに説明して電話を借りることができました。
旅行を継続できるだけの現金は別のスーツケースに入れておいたので大丈夫でしたが、精神的に結構ショックを受けました。
ケガをしたわけでもなく、お金を盗られただけの被害で済みましたが、こういうハプニングがあると、一人で対処するのはかなりエネルギーが要ります。
一応、その足ですぐ警察署に行って拙いイタリア語と英語で説明し、書類にサインしてきましたが、やはりとっさのときは母国語で落ち着いて話せると安心感が違います。
その後の旅行ではスリ対策を万全にするようになりました。そういう意味では良い経験でした。

言葉は最高の宝物
イタリア語がもっと上達してくると、さらに旅は楽しくなりました。スリ事件の翌年も、懲りずに私は一人でイタリアへ。ナポリやポンペイ、再びローマを訪れました。
この時は旅の期間中、ほぼイタリア語で会話できたため、出会うイタリア人に必ず「どうして話せるの?」「お上手ですね」「イタリアに住んでるの?」とセットで聞かれました。
日本人でイタリア語を話す人はちょっと珍しいみたいです。
言葉が通じるとより距離が縮まるようで、私が知らないイタリア語を教えてくれたり、タクシー運転手との会話から役に立つ情報をキャッチできたり、それまでとは一味違う時間を得ました。
そして、イタリア語を通じて、ほんの少しですが、イタリア人の価値観や人生に対する物事の見方を知ることができたと思います。
たとえば、帰国時の空港へ向かう車が渋滞に巻き込まれたものの、なんとか時刻通り到着できたとき、イタリア人スタッフが少し申し訳なさそうに話しかけてきたことがあります。
私はかえって遅れたことで素晴らしい夕陽を車窓から眺められたので、それを感謝したところ、彼女はニッコリ笑って「物事の良い面を見るのは美しいことですね」と言ってくれたのです。
場の空気がガラッと変わり、私たちは一緒に夕陽を見ながら笑い合いました。
イタリア人のおおらかさには、日本人が見習いたい美点が多くある気がしています。
また、3度目のローマからの帰国時、出国審査官がふと私を見て「イタリア語を話すのですか?」と尋ねてきました。すべてイタリア語です。
「少しですが。日本で勉強しています」「次はいつイタリアへ戻ってくるのですか?」「来年です」「良いクリスマスを!」「ありがとうございます」
この会話は後からじんわり心に沁みてきました。
「いつ帰ってくるの?」という言葉が、まるでイタリアが自分を少し受け入れてくれたような、そこに居場所をほんの少し作ってくれたような気がして・・・。
イタリア語を習っていて本当に良かったと、心の底から感じた瞬間でした。
自分の好きな国、憧れの国へ行く際はぜひ少しでもいいから、その国の言葉を覚えていくことをおすすめします。きっと思いもよらない、最高の思い出がついてくると思います。

良い旅は人生を輝かせてくれる
さらに翌年はイタリアにもほど近い、オーストリアのウィーン、ザルツブルグへ。今度はドイツ語を少し学んで行きました。
イタリアのラテン圏とは異なる、独特の美しい文化や芸術に数多く触れることができ、またヨーロッパの魅力の一端を発見しました。
旅の魅力は尽きることがありません。行きたいと思ったらぜひ実際の行動に移してみましょう。
まだ知らない自分に出会うこともきっとありますし、地球の片隅にこんな美しい街があったんだ!と子供のように目を輝かせる瞬間もあります。
一人でも一人じゃない。そう実感できる瞬間だってたくさんあります。
良い旅は人生を磨き、深みを与えてくれることでしょう。そんな素敵な旅を、ぜひみなさんもたくさんしてみてくださいね。
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